自筆証書遺言と公正証書遺言どちらがいい?

大分県杵築市の行政書士 工藤正寛です。

 

今日は遺言書の種類についてご説明いたします。

一般的な遺言書には、自分で紙に書く「自筆証書遺言」と

公証人役場で作ってもらう「公正証書遺言」があります。

もうひとつ「秘密証書遺言」というものもありますが、採用例が少ないため、

今回は自筆証書遺言と公正証書遺言の2つに絞ってご紹介いたします。

 

まず「自筆証書遺言(自分で書く遺言書)」

紙とボールペンとハンコがあれいつでも書くことができ、

費用がかからないことが最大のメリットです。

 

その反面、遺言書を保管していた人、遺言書を発見した人は、

遺言者が亡くなったことを知ったあとに、家庭裁判所に遺言書を提出して

「検認」という手続きをして、相続人の立会いの上、開封して

遺言書がこれから偽造や変造をされないようにしなければなりません。

そのため、相続人は遺言書の内容をすぐに実行できないという

デメリットがあります。

 

また、自分で遺言書を保管することになるので、

そもそも遺言書自体を見つけてもらえなかったり、

見つけてもらっても内容に不満を持つ者によって、

偽造や破棄、隠ぺいされるといった大きなリスクもあります。

 

そして遺言書には、法律で決めれた要件があるため

書き方を間違えてしまうと無効になってしまうおそれがあります。

自筆証書遺言を作られた時には、その遺言書が法律的に有効であるかを

専門家に見てもらうことをおすすめいたします。

 

 

自筆証書遺言のデメリットを解消してくれるのが

公証人役場で作る「公正証書遺言」です。

公証人役場というものを聞きなれないと思いますが、

公証人という30年以上の実務経験(主に判事や検事、弁護士や法務局長など)

のある法律の専門家が、文書を公的に証明・認証してくれるところです。

 

公正証書遺言のメリットは、公証人という法律のプロが

遺言者の希望を聞いて作ってくれるので、遺言書が無効になる可能性は

極めて少ないということです。

そして遺言書の原本を公証人役場が半永久的に保管してくれるので

偽造されたり、紛失したりする心配もありません。

また家庭裁判所の検認の手続きも不要ですので、

遺言書の内容をただちに実現することが可能です。

 

病院に入院していて公証人役場まで行けない、という方でも

出張料はかかりますが、公証人が出張して

遺言書を作ってもらうことも可能です。

 

公正証書遺言のデメリットとしては、費用がかかること。

公証人の手数料は、財産の額や分け方によって違いますが

2万円~10万円程度。

公証人役場に最低でも2回は訪れないといけないことから

行政書士などの専門家に手続きを頼まれる方もいますので

その場合は、専門家の費用も別途必要になります。

 

また公正証書遺言には、2人の証人が必要です。

証人は、遺言者が人違いでないことを確認したり、

遺言を残す判断能力があるかを見たり、

作られた遺言書が真実に成立したものであることを確認して

署名・押印する、いわゆる「見届け人」です。

そのため、公証人や証人に遺言書の内容が知られてしまう

というデメリットがあります。

 

それでも、公証人役場が遺言書の存在を証明してくれて

しっかり保管してくれるメリットは大きいといえます。

費用に問題がないのであれば、公正証書遺言で作成されることを

おすすめいたします。

 

公正証書遺言のように大げさなことはしなくても、と思われる方や

いずれは公正証書遺言を書きたいけれど、まずは気軽に書きたい、

という方には、「自筆証書遺言」を残されるのもいいと思います。

遺言書は、判断能力のある間は、いつでも書き直すことができるので

「とりあえず、自筆証書遺言を」というのも大きな意味があります。

 

 

行政書士は、お客様のご希望をお伺いして適切な遺言書の文面を

ご提案したり、公証人役場との打ち合わせや証人を務めたりいたします。

遺言書でご不明な点がありましたら、お近くの行政書士にご相談ください。

 

 

こちらもご覧ください

公正証書遺言・自筆証書遺言のメリットとデメリット