遺言で決めることができる内容

  遺言では、主に以下のような事項を定めておくことができます。

  • 相続に関する事項
  • 財産処分に関する事項
  • 身分上に関する事項
  • その他の遺言事項         

 

◆相続に関する事項◆

  1.相続分の指定

    財産を特定せずに遺産全体に対する割合で指定する方法です。

 

    相続分の指定がなされると、法定相続分ではなく、

    指定相続分で遺産分割されることになりますので、

    これにより、ご自身の希望する割合で各自に財産を取得してもらいたい

    という希望がかなえれることになります。

 

    相続分の指定のみでは具体的な分割方法まで定まりませんので

    別途、遺産分割協議が必要となります。

 

  2.遺産分割方法の指定

    不動産、預貯金、株式といった特定の財産ごとに

    その取得者を誰にするのか指定しておく方法です。

 

    遺言によって取得者が指定された財産については、

    遺産分割の対象から除かれ、遺産分割協議が不要となります。

         

   3.遺言執行者の指定

    遺言で遺言執行者を指定して、その人が就任を承諾すれば

    他になんらの手続きも要さずに遺言執行者に就任することになります。

    遺言執行者がいる場合は、相続人は遺産の処分その他遺言執行を

    妨げる行為をすることができません。

    遺言の内容をより確実に実現させるためには、

    遺言執行者を指定しておくことが望ましいです。

 

    ※未成年者、破産者は遺言執行者になることができません。

 

  .推定相続人の廃除および取消し遺言執行者の選任が必要です)

      推定相続人による被相続人に対する虐待や重大な侮辱、

    または著しい非行がある場合、遺言によって廃除の意思表示ができ、

    家庭裁判所で廃除の審判がなされたとき、その相続人は相続権を失います。

 

  5.特別受益の持戻しの免除

 

  6.遺留分減殺方法の指定

      財産をもらった人が(他の相続人から)遺留分の減殺請求を

    受ける可能性があると判断した場合、

    どの財産から遺留分を払って欲しいかを

    あらかじめ遺言書の中で指定することができます。

    

  7.遺産分割の禁止

    自分の死後、一定期間(最長5年間)遺産分割を禁止することができます。

    遺族が遺産分割をめぐってもめそうなときや、

    農地など分割されると事業の存続が危うくなるような財産があるときに、

    遺言内容に入れます。 

 

  8.担保責任の指定

    相続が発生したときに、遺言書に書いてある財産が消滅していたり、

    高価な骨董品に傷がついて資産価値がなくなっていたような場合、

    それをもらった相続人が他の相続人にくらべて損をすることになるため

    このような事態が生じたときに、他の相続人が穴埋めする義務があります。

    (これを「担保責任」といいます)

    遺言書に誰にどれくらい担保責任を負わせるかを指定することができます。

    

◆財産処分に関する事項◆

  1.遺贈

    遺言で財産を譲ることです。

    相続人以外の第三者にも財産を残すことができる方法でもあります。

     

    遺贈には特定の財産を指定する特定遺贈と

    遺産全体の一定割合を指定する包括遺贈があります。

 

    財産を特定する特定遺贈をした場合、その財産については

    相続開始により、ただちに受遺者(財産をもらう人)に権利が移転

    しますので、遺産分割からは除かれます。

    

    割合を指定する包括遺贈をした場合、遺産に対する権利義務が

    指定された割合で包括的に受遺者に移転しますので、

    その受遺者は相続人と同様の立場で遺産分割協議に参加することになり、

      遺贈が放棄されるという事態も考えられます。

    確実に財産を取得させいたい場合は、特定遺贈を考えられた方が

    よいでしょう。

 

   ※遺贈をする場合には、それによって紛争が生じることのないように

    配慮する必要があります。

 

  2.その他の財産処分

    ①一般財団法人の設立(遺言執行者の選任が必要です)     

      自己の財産を社会に役立てたいと考える場合に有効な方法です。

 

    ②信託の設定(遺言執行者の選任が必要です)

               ・特定の財産にかかわる代々の後継者を指名したい場合

     ・財産の使用方法を確実に定めておきたい場合

      (例)自分の亡くなった後、病気や障がいなどで自活できない親族の

         生活を保障するために財産を使用してもらいたい。

 

         公益活動のために財産を使用してもらいたい。

        

     ・孫に教育資金を一括贈与したい場合 など

 

    ③生命保険金の受取人の変更

     ・保険金受取人の変更は、保険契約者の相続人や遺言執行者が

      保険会社に通知しなければ保険会社に対抗できないため

      注意が必要です。

 

◆身分上に関する事項◆

  1.認知遺言執行者の選任が必要です)

      婚姻外で生まれた子どもがいる場合

    それまで子どもを認知しなかったが、

    死後なら認知してもいいと思う場合は、遺言書で認知し、

    遺言執行者を指定すれば、子どもに財産を相続することができます。

     

   2.未成年後見人、未成年後見監督人の指定

      すでに配偶者が亡くなっていて(または離婚して)

    自分に万一のことがあったとき、

    幼い子どもの面倒を誰が見るのか心配な場合は、

    遺言書で未成年後見人を指定することができます。

 

◆その他の遺言事項◆

  1.祭祀主宰者の指定

      お墓や仏壇などは相続財産にはなりません。

    家族を代表してお墓を引き継ぎ、先祖の祭りごとを行う人のことを

    「祭祀主宰者」といいます。

    遺言で誰に祭祀主宰者を引き継がせるかを書くことができます。

 

  ※付言事項(法的拘束力はありません)

    遺言書には、葬儀の方法、遺言をするに至った心情、

    家族や友人に対する感謝の気持ち、子ども達に対する遺訓など

    法的な拘束力を持つものではありませんが、

    心情的な事項を記載することができます。

 

    例えば

    法定相続分とは異なる相続分や相続分の指定や

    分割方法の指定をする場合に、遺産争いが生じないように、

    どういう理由でこのように分けたのか

    遺言の趣旨を補足説明ておいたり、

    他の相続人に対して遺留分減殺請求をしないことを

    希望する旨を記載しておくことが重要です。 

 

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